頭の中にタスクが30個、どこにも書いていない

朝起きて「今日やること」を思い出そうとする。請求書の送付、ブログの下書き、クライアントへの返信、経費の入力、見積書の作成......。頭の中に浮かぶタスクが多すぎて、どこから手をつけていいかわからない。メモ帳に書いたこともあるが、書いたメモ帳がどこにあるかわからない。

タスク管理ツールを導入したのは、この「頭の中にだけタスクが存在する」状態に耐えられなくなったからだ。

Notion・Todoist・TickTick、何が違うのか

3つのツールは「タスクを管理する」という目的は同じだが、設計思想がまったく異なる。

特性 Notion Todoist TickTick
設計思想 オールインワンのワークスペース タスク管理に特化 タスク管理 + 時間管理
学習コスト 高い 低い 低い〜中程度
カスタマイズ性 非常に高い 低い 中程度
タスク登録の速さ 遅い(構造を考える必要あり) 速い(自然言語入力) 速い
向いている用途 タスク + 情報の一元管理 純粋なタスク管理 タスク + 集中力管理

料金比較

プラン Notion Todoist TickTick
無料プラン あり(個人利用は十分) あり(プロジェクト5個まで) あり(リスト9個まで)
有料プラン名 Plus Pro Premium
月額料金(年払い時) $10 / ユーザー $5 / ユーザー 約$3 / ユーザー(年額$35.99)
月額料金(月払い時) $12 / ユーザー $7 / ユーザー -
有料版の主な追加機能 ファイル容量増、バージョン履歴延長 プロジェクト数無制限、リマインダー、フィルター カレンダー連携強化、統計、ポモドーロ

コストだけで比較すると、TickTickが最も安い。Todoistの無料プランは「プロジェクト5個まで」の制限があるが、個人利用であれば5個で足りるケースも多い。Notionの無料プランはページ数・ブロック数が無制限で、タスク管理だけなら無料のまま十分に使える。

各ツールの詳細レビュー

Todoist:タスク登録の速さが圧倒的

Todoistの最大の特徴は「自然言語入力」だ。タスクの入力欄に「明日10時 クライアントAに見積書送付 #仕事 p1」と打つだけで、期限、プロジェクト、優先度がすべて自動設定される。

操作のテンポが速い。 タスクを思いついた瞬間にInboxに放り込み、後でプロジェクトに振り分ける。このGTD的な運用がストレスなくできる。

主な機能:

  • 自然言語でのタスク登録(日時、優先度、ラベルの自動判定)
  • プロジェクトとセクションによる階層管理
  • フィルターとラベルでのビュー切り替え
  • 繰り返しタスク(「毎週月曜日」「毎月1日」など)
  • カルマシステム(タスク完了の可視化)
  • テンプレート機能

向いている人:

  • タスクの登録に1秒でもかけたくない
  • GTD(Getting Things Done)方式で運用したい
  • タスク管理以外の機能は求めていない
  • スマホから頻繁にタスクを追加する

TickTick:タスク管理と時間管理を1つで完結

TickTickは、Todoistと同様のタスク管理機能に加え、ポモドーロタイマーと習慣トラッカーが組み込まれている。「何をやるか」だけでなく「どれだけ集中してやれたか」まで管理できる。

主な機能:

  • タスク管理(自然言語入力対応)
  • カレンダービュー(タスクとスケジュールの統合表示)
  • ポモドーロタイマー(25分集中 + 5分休憩のサイクル管理)
  • 習慣トラッカー(毎日の習慣を記録・可視化)
  • アイゼンハワーマトリクス(重要度 x 緊急度の4象限表示)
  • ホワイトノイズ/環境音の再生機能

向いている人:

  • タスク管理と時間管理を別々のアプリに分けたくない
  • ポモドーロテクニックを実践している、または試したい
  • カレンダー形式でタスクを視覚的に把握したい
  • 習慣化(運動、読書、勉強など)も一緒に管理したい

Notion:タスク管理を超えた情報基盤

Notionは「タスク管理ツール」ではなく「ワークスペース」だ。タスク管理はNotionの機能の一部にすぎない。データベース機能を使って、自分好みのタスク管理システムを構築できる。

主な機能:

  • データベースによる柔軟なタスク管理(テーブル / かんばん / カレンダー / タイムライン表示)
  • タスクにメモ、ファイル、リンクを紐付けられる
  • リレーション機能で案件管理や顧客管理と連携
  • テンプレート機能で繰り返し業務を効率化
  • API連携で外部サービスとデータをやり取り

向いている人:

  • タスクだけでなく、議事録、ナレッジ、顧客情報も一元管理したい
  • 自分好みのシステムを構築するのが苦にならない
  • データベースのビュー切り替え(テーブル / かんばん / カレンダー)を活用したい
  • 外注スタッフとの情報共有もNotionで完結させたい

Notionの具体的な設定方法は「Notionの「1人用」設定、私はこうしている」にまとめている。

GTDとタイムブロッキング

タスク管理ツールを導入しても、運用方法が定まっていなければ「ツールにタスクを入力しただけで満足」になる。代表的な2つのフレームワークを紹介する。

GTD(Getting Things Done)

GTDはデビッド・アレンが提唱したタスク管理メソッドだ。

5つのステップ:

  1. 収集(Capture): 頭に浮かんだことをすべてInboxに入れる
  2. 処理(Clarify): 各アイテムについて「次にとるべき行動」を決める
  3. 整理(Organize): プロジェクト、コンテキスト、期限で分類する
  4. レビュー(Review): 週に一度、リスト全体を見直す(週次レビュー)
  5. 実行(Engage): 状況に応じて最適なタスクに取り組む

GTDに最も向いているツール: Todoist。Inbox → プロジェクトの振り分けが自然言語入力で高速にできる。TickTickも同様の運用が可能。Notionでも構築できるが、Inbox機能を自分で設計する必要がある。

タイムブロッキング

タイムブロッキングは、1日の時間をブロック単位に分割し、各ブロックに特定のタスクを割り当てる方法だ。

基本的なやり方:

  1. 朝、今日やるべきタスクをリストアップする
  2. カレンダーに「9:00-10:30 提案書作成」「10:30-11:00 メール返信」のようにブロックを配置する
  3. ブロックの時間内はその作業だけに集中する
  4. 割り込みが発生したら、別のブロックに移動する

タイムブロッキングに最も向いているツール: TickTick。カレンダービューにタスクをドラッグ&ドロップで配置でき、ポモドーロタイマーで集中時間を測れる。Google Calendarとの連携も可能だ。

プロジェクト管理とタスク管理の違い

「タスク管理」と「プロジェクト管理」は混同されやすいが、扱う粒度が異なる。

項目 タスク管理 プロジェクト管理
粒度 1つのアクション(30分〜2時間で完了) 複数のタスクで構成される成果物
管理対象 「やるかやらないか」「いつやるか」 全体の進捗、マイルストーン、リソース配分
必要な機能 チェックリスト、期限、優先度 ガントチャート、依存関係、タイムライン
ツール例 Todoist、TickTick Notion、Asana、Monday.com

一人社長の場合、プロジェクトの規模が小さいため「タスク管理ツール」で十分なケースがほとんどだ。Todoistのプロジェクト機能やTickTickのリスト機能で案件ごとにタスクをまとめれば、別途プロジェクト管理ツールを導入する必要はない。

ただし、案件数が増えて進捗の全体像を把握したくなったら、Notionのデータベース機能でプロジェクト管理を構築する選択肢がある。

一人社長向けの設定例

Todoistの設定例

プロジェクト構成:
├── Inbox(まず全部ここに入れる)
├── 仕事
│   ├── クライアントA
│   ├── クライアントB
│   └── 営業・マーケティング
├── 経理
├── 管理業務
└── いつかやる(Someday)

ラベル:
@PC(PCが必要な作業)
@外出(外出先でやる作業)
@電話(電話で済む作業)
@短時間(15分以内で終わる作業)

TickTickの設定例

リスト構成:
├── Inbox
├── 仕事
│   ├── クライアント別タグで管理
│   └── 定期タスク(毎月の請求書発行など)
├── 経理・管理
├── 習慣トラッカー
│   ├── 朝の運動
│   ├── 読書30分
│   └── 帳簿チェック
└── いつかやる

ポモドーロ設定:
集中時間:25分
短い休憩:5分
長い休憩:15分(4セット後)

Notionの設定例

Notionでタスク管理を行う場合、データベースのプロパティを以下のように設定する。

プロパティ名 タイプ 用途
タスク名 タイトル タスクの内容
ステータス セレクト 未着手 / 進行中 / 完了 / 保留
優先度 セレクト 高 / 中 / 低
期日 日付 締め切り
プロジェクト リレーション 案件管理DBと紐付け
カテゴリ セレクト 仕事 / 経理 / 管理 / 学習
所要時間(見積) 数値 分単位で入力

ビューの切り替えで「今週の未完了タスク」「プロジェクト別のかんばん」「カレンダー表示」を使い分ける。

ノーコード自動化との連携については「ノーコード自動化ツール、何をどう自動化するか」も参照してほしい。

バックオフィスツール全体の見直しには「一人社長のためのバックオフィスSaaS導入ガイド」が参考になる。

よくある質問

Q1. 3つのツールを併用してもいいか?

技術的には可能だが、推奨しない。タスクの入力先が分散すると「あのタスクはどこに入れたっけ?」という状況が発生する。メインのタスク管理ツールは1つに絞るのが鉄則だ。Notionを情報管理のベースにしつつ、日々のタスクはTodoistで管理する、という組み合わせなら役割が明確なので運用できる。

Q2. 無料プランでどこまで使えるか?

Todoistの無料プランはプロジェクト5個、タスク数無制限。個人利用なら十分なケースが多い。TickTickの無料プランはリスト9個、タスク数に若干の制限あり。Notionの無料プランはページ数・ブロック数が無制限で、タスク管理だけなら有料プランにする必要はほぼない。まずは無料で始めて、制限に当たったタイミングで有料化を検討するのが合理的だ。

Q3. 紙の手帳からデジタルに移行すべきか?

紙の手帳で回っているなら無理に変える必要はない。ただし、紙の弱点は「検索できない」「リマインドできない」「繰り返しタスクの自動化ができない」ことだ。デジタル化すれば、さらにAIでルーティン作業を自動化して週10時間浮かせることも可能になる。タスクの数が増えて紙では追いきれなくなったとき、デジタルへの移行を検討する。移行時はTodoistから始めるのが最もスムーズだ。

Q4. タスク管理ツールを導入したが続かない。どうすればいい?

続かない最大の原因は「ツールが複雑すぎる」か「タスクの粒度が大きすぎる」のどちらかだ。ツールの複雑さについてはTodoistのようにシンプルなものに切り替える。タスクの粒度については「見積書を作る」ではなく「見積書のテンプレートを開く」「金額を入力する」「PDFで保存する」のように、30分以内で終わるアクションに分解する。

ここまでの整理

3つのツールの選び方をまとめると、以下のようになる。

こんな人には このツール
とにかくシンプルにタスクだけ管理したい Todoist
タスク管理と集中力管理を1つで完結させたい TickTick
タスク、議事録、顧客情報を全部まとめたい Notion
初めてタスク管理ツールを使う Todoist
過去にNotionで挫折した経験がある Todoist or TickTick
コストを最小限にしたい 3つとも無料で始められる

どのツールを選んでも、「頭の中だけにタスクがある状態」からは確実に脱却できる。大切なのは「最高のツールを探す時間」ではなく「今日から1つのツールにタスクを書き出すこと」だ。